BRUTUSワイン特集の思い出
1998年の3号連続ワイン特集は、1997年から続く空前の赤ワインブームをさらに高く押し上げた一因とも言われています。
● 1998年 2/15「やっぱりワインはフランスです。」
⇒5大シャトー、シンデレラワイン、ブルゴーニュなど
● 1998年 3/1「ワインの新定番」
⇒新世界、カルフォルニアプレミアム、和食に合うワインなど
● 1998年 3/15「イタリアワインの教科書」
⇒イタリア、スペイン、ドイツなど
フランスの次に新世界特集が来たときは驚きました。
当時はカリフォルニアワインのプレミアムクラスはオーパスワンやカレラくらいしか知らなかったところに、「グレースファミリー」「キスラー」「リッジ」「ダン」といった凄いワイナリーが沢山あると教えてもらいました。
おそらくモンダヴィとフレスコバルディのジョイントベンチャー「ルーチェ」を日本で始めて紹介したのもこの特集でした。
BRUTUSは、田崎真也さんがソムリエ世界一になった翌年(1996年)からワイン特集に力を入れていました。
1997年 6/15号では「1855年メドック格付けを今のワイン評論家が見直すとどうなるか」という野心的な企画を掲載しています。担当したのは、
・ジャンシス ロビンソン(マスター オブ ワイン)
・ロバート パーカー(ワイン アドヴォケイト誌)
・クライヴ コーツ(マスター オブ ワイン)
・ミッシェル ベッタン & ティエリー ドゥソーヴ(ラ ルヴュ デュ ヴァン ド フランス誌)
格付け見直しは政治的な案件でもあり、デリケートに扱う必要がありますが、「このシャトーは●級じゃない」と容赦なく載せているのが面白いです。1855年に存在していないシャトーもランクインしています。
ワイン情報はネットに移ってきたけれど
今では、グランヴァンの値段はこの頃と全然違っていますし、もう市場に無いワインが載った雑誌を見ても買うことはできません。
紙媒体は時と共に廃れ、時代はネットが当たり前に。メルマガやSNSではワイン情報が溢れています。
しかし当時、ワインの情報に飢えて貪るように読み込み、「いつかこのワインを飲んでみたい!」「このソムリエのいるレストランに行ってみたい」と、憧れに胸を膨らませていた初心を思い出すタイムカプセルとして、今でも時々、ボロボロになった特集を眺めるのです。